2012年9月3日月曜日

仁義なき戦い

SUUMO対HOME'S、 住宅情報サイト 仁義なき戦い

東洋経済オンライン 9月3日(月)10時51分配信
SUUMO対HOME'S、 住宅情報サイト 仁義なき戦い
主要サイトの掲載物件数
 ネット時代に突入し、最強の営業部隊を抱えるリクルートは、ネットとリアルの間で独自のモデルを模索している。その象徴的な例が『SUUMO』だ。

主要サイトのネット視聴率の推移

 そもそもSUUMOとは、『住宅情報』『ふぉれんと』などの住宅分野を、2009年に統合したブランド。フリーペーパーの『SUUMO新築マンション』(週刊、16・8万部)では、首都圏・関西を六つに分け、駅やコンビニのラックで無料配布。

 「狭域に徹し、細かく、回転よく、折り込みチラシをまくように。個別物件のチラシと違い、情報誌なら比較検討できる」(渡邊千洋・住宅カンパニーMP統括部長)。マンション分譲に合わせ、短期で一気に集客するのがリクルート流である。

 リクルートは1996年にネット化に踏み切ったが、実はネットでは強力なライバルがいる。『HOME'S』だ。リクルートから独立した井上高志社長が、97年にネクスト社を設立し、専門サイトをオープンした。ちなみにネクストは楽天の持ち分法適用会社である。SUUMOが分譲マンションや新築戸建てに強いのに比べ、HOME'Sは賃貸マンションや中古戸建てに強い。

 住宅情報サイトは近年、相次ぐ新規参入で混沌としている。実際に不動産会社と窓口でつながり、情報を直接仕入れているのは、SUUMO、HOME'S、『at home』の三つのみだ。『Yahoo!不動産』など他のサイトは、3社から情報を卸してもらって、そのまま載せるだけ。ただ視聴者からの見た目では、構造上の違いはわからない。

■専業で身軽なHOME'S 料金は問い合わせに連動

 それでも物件の掲載件数では、HOME'Sが384万件と、断トツに多い。ネクストが「11年1月から問い合わせ課金制に本格移行したため」(幹部)だ。

 これは顧客がHOME'Sのサイトを見て、不動産会社に問い合わせると、不動産会社からHOME'Sに対し手数料が支払われる仕組み。不動産会社にとっては、今までならサイトに掲載したら、効果がわからなくても、まとめて広告料として徴収されていた。

 新たな制度なら、基本料月1万円+問い合わせの分だけ、家賃の2~5・5%の手数料を支払えば済む。営業人員が70~80人しかいない身軽さを武器に、従来とガラリ手法を変えたのだ。

 これに対してSUUMOは、ネットに加え、情報誌、さらに相談カウンターとの合わせ技で挑む。「SUUMOカウンター」は11年末で22カ所あるが、今年だけで10カ所近く増強する構え。とはいえカウンターは顧客が相談するだけなら収益を生まず、あくまで成約までを誘引するツールにすぎない。積極的な拠点増強にはリスクもはらんでいる。

 情報誌が祖業であり、今もSUUMOだけで700人の営業部隊を抱える、巨艦リクルート。SUUMOの葛藤は、リクルートの描くネットとリアルの融合モデルが成立するのかを、克明に表している。

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